名もなき夜窓辺に寄りかかり空を見つめる背に、触れたかった。星のない夜、風は凪いで虫も吐息も掻き消えた。貴方の知らない世界を俺はたくさん知っているが、俺の知らない世界を、貴方はたくさん持っている。俺たちが成し得なかった夢。それを与えようと言って、貴方は颯爽と現れた。「まるで神の思し召しか」仲間のひとりは笑った。あんな少年に何が出来るんだと。力が全てではないと、心配がる者もいた。そんなことどちらでもいい。俺も、あいつも、貴方を信じると誓ったから。だから貴方に触れたい。分かち合い、覚悟したい。「ボス、交代です」「わかった」「眠ってください。昨日もさして寝ていないでしょう」「……いや、今日はあまり疲れていないから。少し走ってくる」ありがとう。そう言っ...03Dec2020リオメイ