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メイス

メイス君のお仕事

第一印象は猫のようだった。ルドルフと名乗るその男は、掴み所のない飄々とした笑みを浮かべて物腰柔らかく現れた。レザーパンツのポケットに親指だけ突っ込んだまま、「なんでもやれます」と豪語し若い衆を笑わせる。おいおい、俺たちの仕事を舐めてもらっちゃ困る。片盲のガキに仕事を任せるほど俺たちは腐っちゃいねぇし、東洋人は元からソリが合わねえ。蒸かした煙草の煙に目をしぱしぱさせながら、それでも彼は食い下がった。「俺は東洋人じゃねぇしガキでもねぇ。金が必要なんだ」頼む。とあざとく懇願する三白眼を見下ろす。他人の懐に入り込むのは上手いらしい。眉を下げ、長い黒髪が首を傾げるたびに揺れて、これは高く売れそうだな、とぼうっと考えながら気付けば俺は首を縦に振...

03Dec2020
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