ほらよ、と渡された、親指ほどの包み。ちっさ、と小さく返す。
「侮るな、まぁ開けてみろよ」
促され針金の留め具をねじる。こういうタイプ、どっちに回せばいいか一瞬わからなくて苦手なんだよな。俺が苦戦している様子をメイスはにこにこと見下ろしていて、少しばかり嫌な気配すらする。
「なんだよ、爆発でもすんのか!」
「アホ、ちげーよ」
ビビットなピンク色の包みを開けると、中から丸い玉が出てきた。
「……チョコ」
「そう、トリュフチョコだ」
大袈裟に胸を張るメイス。トリュフチョコがなんなのかわからない俺。
「ピザ屋でもらったんだけどよぉ、うまいぜ? カリッとしてフワッとすんだよ。ゲーラの分ってもらったから持ってきてやったぜ。ありがたく思え」
肩を組んで自慢してくるメイスの口の端にチョコレートパウダーが少しついてて笑った。まるっと口に放り込むと、言われた通り、カリッとフワッと、甘くとろけた。
0コメント